「住宅ローン控除って、実際いくら戻ってくるの?」
マイホームを検討している人から、よくこの質問をもらいます。わたしは2019年に3,100万円の住宅ローンを組み、それから8年間、毎年確定申告で住宅ローン控除を受け続けています。8年間の累計還付額は、ざっくり200万円ほど。
「200万円」と聞いて、多いと感じますか?少ないと感じますか?今日は実績数字をもとに、住宅ローン控除の本当のメリットと、繰り上げ返済をしない判断の理由まで、全部書きます。
📋 この記事でわかること
- 住宅ローン控除の仕組みと控除率(1%・0.7%の違い)
- 3,100万円借入・8年間の実際の還付額推移
- 35年ローンを選んだ理由と繰り上げ返済しない判断の根拠
- 変動金利上昇への対応策
2019年に3,100万円のローンを組んだ経緯
住宅を購入したのは2019年の年始です。新築建売の一戸建てを購入しました。ローン総額は3,100万円、借入期間は35年。
ローンの組み方で少し工夫したのが、「固定金利と変動金利を半分ずつ」にしたことです。
一般的には「全額固定で安心」か「全額変動で低金利メリットを取る」かの二択で考える方が多いですが、わたしはその中間を選びました。理由は2つです。
- 固定金利の半分:将来金利が上がっても返済額の半分は変わらない安心感。繰り上げ返済など選択肢を確保したかった
- 変動金利の半分:当時の変動金利は非常に低かったため、そのメリットを一部取り込みたかった
2024年以降、日本でも変動金利が上昇し始めていますが、半分だけ変動にしていたおかげで影響が限定的で済んでいます。あのとき半々にしておいてよかったと、今は感じています。
住宅ローン控除の仕組みをざっくりおさらい
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末のローン残高に一定の割合をかけた金額が、所得税から直接差し引かれる制度です。
2021年以前に入居した場合は「残高の1%」が控除対象でした(2022年以降の入居は0.7%に変更)。わたしが購入したのは2019年なので、当初は残高の1%の控除を受けています。
控除期間は原則10年間(一定の条件で13年間)。毎年確定申告(または年末調整)で申告することで、所得税・住民税から還付されます。会社員の場合、2年目以降は年末調整でまとめて処理できるため、手間はほとんどかかりません。
仕組みとして重要なのは、「控除される金額は年々減っていく」という点です。残高の1%なので、ローンの残高が減るにつれて控除額も下がっていきます。最初の年がもっとも恩恵が大きく、返済が進むほど少なくなる構造です。
実際の還付額|8年間で200万円の節税効果
3,100万円のローンで、最初の年の残高は3,000万円超。残高の1%なら、初年度の控除額は約30万円ほどになります。年々ローン残高が減るにつれて控除額も下がり、8年間の累計はざっくり200万円ほどになりました。
200万円。この金額を改めて見ると、住宅ローン控除のインパクトの大きさがよくわかります。毎年2〜3万円のふるさと納税還付と比べると、桁がひとつ違います。住宅購入者にとって、これほど大きな節税制度は他にはなかなかないと思っています。
確定申告でiDeCoやふるさと納税の控除と一緒に申告していますが、住宅ローン控除の存在感は圧倒的です。「マイホームを買うなら、住宅ローン控除の恩恵を最大限受ける期間設計をすることが大切だ」と実感しています。
8年間の住宅ローン控除 還付額シミュレーション(借入3,100万円・控除率1%)
| 年次 | ローン残高(年末目安) | 控除率 | 還付額(目安) | 累計 |
|---|---|---|---|---|
| 1年目(2019年) | 約3,050万円 | 1.0% | 約29万円 | 29万円 |
| 2年目(2020年) | 約2,970万円 | 1.0% | 約28万円 | 57万円 |
| 3年目(2021年) | 約2,890万円 | 1.0% | 約27万円 | 84万円 |
| 4年目(2022年) | 約2,800万円 | 1.0% | 約26万円 | 110万円 |
| 5年目(2023年) | 約2,720万円 | 1.0% | 約25万円 | 135万円 |
| 6年目(2024年) | 約2,630万円 | 1.0% | 約24万円 | 159万円 |
| 7年目(2025年) | 約2,540万円 | 1.0% | 約22万円 | 181万円 |
| 8年目(2026年) | 約2,450万円 | 1.0% | 約21万円 | 202万円 |
35年ローンを選んだ理由|返済期間と月々の負担のバランス
3,100万円のローンを35年で組むと、月々の返済額はどのくらいになるでしょうか。金利によって変わりますが、固定1.5%・変動0.5%の半々で計算すると、月々の返済は8〜9万円程度になります。
「35年は長すぎる」と感じる方もいるかもしれません。ただ、長い借入期間を選んだのは意図的な判断です。
借入期間を長くするほど月々の返済額が下がり、手元に残るキャッシュが増えます。手元資金に余裕があれば、緊急時の備えにもなりますし、新NISAやiDeCoへの投資にも回せます。資産運用の観点から見ると、「月々の返済を低く抑えて余剰資金を投資に回す」という戦略は、低金利時代には合理的な選択でした(新NISAの活用方法はこちら)。
もちろん、総返済額は増えます。利息の支払いは長い分だけ積み上がります。ただ、その利息の一部は住宅ローン控除で取り返せますし、投資の利回りが金利を上回る期間であれば、繰り上げ返済より投資を優先した方がトータルではプラスになります。
借入期間別 月々返済額・利息総額の比較(借入3,100万円・金利1%)
| 借入期間 | 月々返済額 | 35年との月額差 | 利息総額 |
|---|---|---|---|
| 20年 | 約14.3万円 | +5.6万円 | 約324万円 |
| 25年 | 約11.7万円 | +3.0万円 | 約402万円 |
| 30年 | 約10.0万円 | +1.3万円 | 約487万円 |
| 35年(実際の選択) | 約8.7万円 | ±0 | 約573万円 |
繰り上げ返済を「しない」判断の理由
「ローンを早く返した方が利息が減って得じゃないの?」と思う方も多いと思います。わたしも常にそれを考えてきました。そして今、一括返済も可能な状況になっていますが、それでも繰り上げ返済をしない判断を続けています。
理由はいくつかあります。
理由①:団体信用生命保険(団信)があるから
住宅ローンには「団体信用生命保険(団信)」が付いています。ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合、残りのローンが全額免除される保険です。
つまり、「もし自分が死んだら、ローンがなくなって家族に家が残る」ということです。これは純粋に大きなメリットです。繰り上げ返済してローン残高をゼロにしてしまうと、団信の保障もなくなります。残高がある方が、万が一のときに家族への保障として機能します。
理由②:資産運用の利回りがローン金利より高いから
住宅ローン金利(特に変動金利)は現在も低水準です。一方、新NISAでインデックス投資を続けた場合の期待リターンは年率4〜7%程度。ローン金利より投資利回りが高い期間は、繰り上げ返済よりも投資を優先した方が合理的という考え方もあります。
わたしの場合も、手元の資金を繰り上げ返済に使うより、新NISAや楽天証券・SBI証券での投資に回す方が長期的にプラスになると判断しています(わたしの積立投資の経緯はこちら)。
理由③:住宅ローン控除の期間を最大限活用したいから
繰り上げ返済でローン残高が大きく減ると、住宅ローン控除の還付額も下がります。控除期間中は残高をある程度維持した方が、節税効果を最大限活かせます。控除期間が終わってから繰り上げ返済を検討する方が、総合的にお得になるケースが多いのです。
変動金利が上がってきたとき、どう対応するか
2024年以降、日本銀行が金利を引き上げ、変動金利も上昇しています。ローンの半分を変動金利で組んでいるわたしにとって、この動きは無関係ではありません。
今のところは固定金利の半分が変動金利の上昇リスクを吸収してくれています。半々にしておいた判断が、想定どおりに機能していると感じています。
もし今後さらに変動金利が上昇した場合は、変動金利分(ローンの半分)だけを繰り上げ返済することも視野に入れています。全額繰り上げ返済ではなく、変動部分だけを機動的に動かせるのが「半々で組む」メリットのひとつです。
住宅購入で後悔していること・正解だったこと
正直に書きます。「もう少し都会に買っておけばよかったな」と思うことは、たまにあります。
住んでいるのは田舎の方なので、資産価値の上昇には期待しにくい立地です。都市部のマンションや戸建てであれば、購入時より価値が上がっていたケースも多いでしょう。
ただ、都会の物件はその分高額です。2019年当時の予算では、都市部の物件を購入することは現実的に難しかった。「今の生活環境」「家族のライフスタイル」「当時の家計」を総合的に考えると、現実的にはこの判断しかなかったとも思っています。
一方、正解だったと感じるのは「固定・変動半々」の選択と「2019年に買った」タイミングです。2020年以降は不動産価格が全国的に上昇しており、同じ物件を今買おうとしたら、さらに高額になっていた可能性があります。
住宅ローン控除の主なポイントまとめ表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除率(2021年以前入居) | 年末残高の1% |
| 控除率(2022年以降入居) | 年末残高の0.7% |
| 控除期間 | 原則10年(条件次第で13年) |
| 申告方法 | 初年度は確定申告、2年目以降は年末調整でOK |
| 所得制限 | 合計所得金額2,000万円以下 |
| 上限額 | 借入限度額×控除率(条件により異なる) |
今日の気づきメモ|住宅ローン控除は「長く借りるほど得をする設計」を活かす
住宅ローン控除の最大のポイントは「残高が多いほど、控除額が多い」という仕組みです。つまり、控除期間中はある程度の残高を維持した方が節税効果を最大化できます。
「早く返した方が利息が減る」という感覚は正しいですが、「住宅ローン控除の恩恵を最後まで使い切る」という視点も同じくらい大切です。繰り上げ返済は控除期間終了後に検討するのが、多くの会社員にとって合理的な判断だと思います。
今日のアクションプラン
- 住宅ローンがある方は、今年の年末残高証明書を確認して控除額を計算してみる(保険・スマホなどの固定費見直しもあわせて検討を)
- 繰り上げ返済を検討している方は、住宅ローン控除の残り期間を確認してから判断する
- 変動金利で借りている方は、金利動向を定期的にチェックして繰り上げ返済のタイミングを考えておく
- 年末に確定申告(または年末調整)で住宅ローン控除を申請するとき、e-Tax(国税庁の電子申告)を使うと還付のタイミングが早まる
まとめ|住宅ローン控除は会社員最大の節税制度のひとつ
- 2019年に3,100万円・35年ローン(固定・変動半々)で新築建売を購入
- 住宅ローン控除は残高の約1%が毎年所得税・住民税から還付される仕組み
- 8年間の累計還付額はざっくり200万円。会社員最大クラスの節税制度
- 繰り上げ返済をしない理由は「団信の保障」「投資利回りとの比較」「控除期間の最大活用」の3つ
- 固定・変動半々にしたことで、変動金利上昇局面でも影響を限定できている
- 後悔は「もう少し都会に買えばよかった」、正解は「タイミングと金利設計」
住宅ローン控除は、マイホームを持つ会社員にとって数少ない「大きな節税チャンス」のひとつです。制度を正しく理解して、最後まで使い切ることが大切です。
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