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育児休業給付金はいくらもらえる?計算方法・申請手順の完全ガイド【2026年版】

育児休業給付金の申請・産後パパ育休制度のイメージ画像
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子どもが生まれたとき、育休を取るかどうか本気で考えました。

当時、私は名古屋で仕事をしていました。妻は実家に戻って里帰り出産する予定で、物理的な距離がありました。「育休を取っても、一緒にいられるわけじゃない」そう自分に言い聞かせて、申し出ることをやめました。

📋 この記事でわかること

  • 育児休業給付金でいくらもらえるか(月収別シミュレーション)
  • 2022年スタート「産後パパ育休」と通常育休の違い
  • 申請手続きの具体的な流れと必要書類
  • 社会保険料免除で手取りが実際にどう変わるか
  • 管理職として部下の育休取得をサポートするポイント

3人の子どもが生まれましたが、どの出産でも育休は取りませんでした。

あれから年月が経ち、今は管理職の立場になりました。部下から「育休を取りたいんですが」と相談を受ける機会が増えてきました。そのたびに「もちろん取っていいよ」と伝えながら、自分が制度の詳細をちゃんと把握できていないことに気づきました。

育児休業給付金は給与の何%もらえるのか。2022年から始まったという「産後パパ育休」は普通の育休と何が違うのか。申請はどこにどうやってするのか。「育休を取らなかったから知らなくていい」では済まない時代になっています。そう感じて、改めて制度を調べ直した内容をこの記事にまとめました。

育児休業給付金とは?支給額と期間の基本

育児休業給付金は、育児休業を取得した労働者が雇用保険から受け取れる給付金です。会社からもらうお金ではなく、国(ハローワーク経由)から支給されます。育休中は給与が出ない代わりに、この給付金で生活を支える仕組みになっています。

支給率は取得期間によって2段階に変わります。

育休期間支給率月給30万円の場合
育休開始〜180日目給与の67%約20万1,000円
181日目以降給与の50%約15万円
※出典:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」2024年

「67%では生活が厳しい」と思うかもしれません。でも見落としがちな重要なポイントがあります。育休中は健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。通常、社会保険料は月給の約15%が天引きされていますが、育休中はこれがゼロになります。さらに育休給付金は所得税・住民税も非課税です。

実際の手取りベースで計算すると、給与の67%という数字より減少幅はずっと小さいです。

月収(額面)通常手取り目安育休給付金実質の差
25万円約19〜20万円約16万7,500円約2〜3万円
30万円約23〜24万円約20万1,000円約3〜4万円
40万円約30〜31万円約26万8,000円約3〜4万円
50万円約37〜38万円約33万5,000円約4〜5万円
※概算。育休給付金は育休開始〜6ヶ月(67%適用)。社会保険料免除を加味した手取り比較。扶養・各種控除により個人差あり。

月収30万円の人が育休を取った場合、実質の手取り減少は月3〜4万円程度に収まります。「育休を取ると家計が大変」というイメージより、実態はずっと取り組みやすい設計になっています。育休取得を機に生命保険・医療保険の内容を見直す方も多いです。詳しくは保険の見直しで年間10万円節約できる判断基準もあわせて読んでみてください。

2022年スタート「産後パパ育休」は普通の育休と何が違う?

「産後パパ育休」という言葉をニュースで聞くようになったのはここ数年です。正式名称は「出生時育児休業」。2022年10月の育児・介護休業法改正で新たに設けられた制度で、私自身も今回調べるまでよく知りませんでした。

通常の育児休業と何が違うのか、比較表で整理します。

項目産後パパ育休通常の育児休業
取得できる時期子の出生後8週間以内1歳まで(最長2歳)
取得可能日数最大28日最長1年(最大2年)
分割取得2回まで分割可能2回まで分割可
就業の可否協定があれば一部可原則不可
申請期限2週間前まで1ヶ月前まで
給付金の支給率67%(出生時育休給付金)前半67%、後半50%
※出典:厚生労働省「育児・介護休業法改正のポイント」2022年

産後パパ育休の最大の特徴は、子どもが生まれてすぐの8週間以内に、最大28日間・2回に分けて取れる点です。たとえば「退院後の1週間だけ」「妻の体調が不安定な時期だけ」という短期取得がしやすくなりました。

申請期限も2週間前と短く設定されており、急な出産にも対応しやすくなっています。「1年も取れないけれど少しだけ育休に入りたい」というニーズに応えた制度設計です。

私が育休を諦めた当時、この制度はまだありませんでした。もし産後パパ育休があったなら、名古屋から妻の実家まで2週間だけ滞在する、という形でも選択肢としてあり得ました。今さらながら、そう思います。取れなかった理由のひとつは「長期間取るか・ゼロか」という二択しかなかったことだったかもしれません。なお、育休と合わせて確認しておきたい制度として児童手当の最新受給条件と金額も目を通しておくといいでしょう。

育児休業給付金の計算方法【月収別シミュレーション】

給付金の計算式は「賃金日額」をベースにしています。少し複雑に見えますが、おおまかには以下の式で計算できます。

育児休業給付金(月額)≒ 育休開始前6ヶ月の平均月収 × 67%(最初の180日)

正確には「育休開始前2年間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること」が受給要件で、給付額は「直前6ヶ月の賃金総額 ÷ 180日 × 支給日数 × 67%」で算出されます。残業代や各種手当も含めた実績ベースの月収が対象になります。

また、給付金には上限額があります。2024年時点では月の上限は約31万円(最初の6ヶ月・67%適用時)。月収が高い方はこの上限に引っかかる場合があるため、事前に確認しておくといいでしょう。

支払いのタイミングにも注意が必要です。育休を開始してすぐ振り込まれるわけではなく、最初の給付は育休開始から約2ヶ月後になることが多いです。その間の生活費は手元資金で賄う必要があるため、育休前に2〜3ヶ月分の生活費を準備しておくことを強くすすめます。

なお、育休を1年以上取得する場合(保育園に入れない等)は延長が可能で、子が最長2歳になるまで給付金が続きます。ただし181日目以降は支給率が50%に下がる点は忘れずに確認しておいてください。

申請手続きの流れ【本人はハローワーク不要・会社が代行します】

「申請が面倒そう」というイメージを持つ方は多いですが、実は労働者本人がハローワークに行く必要はありません。手続きは基本的に会社(人事・総務)が代行する仕組みになっています。本人がやることは、会社に育休取得を申し出て、必要書類を渡すだけです。

手順やることタイミング
①育休取得の申し出本人が会社へ書面で申請育休1ヶ月前まで
②申請書の提出本人が会社の書類に記入①と同時に
③雇用保険の申請会社がハローワークへ手続き育休開始後すみやかに
④給付金の支給申請会社が2ヶ月ごとに申請・本人口座へ振込育休中、継続的に
※会社によって手続きの詳細は異なります。総務・人事部門に事前確認を。

取得を決めたら、できるだけ早く上司や人事に相談するのが得策です。法的な申請期限(1ヶ月前)はあくまで最低ラインで、業務の引き継ぎや代替要員の確保を考えると、2〜3ヶ月前に動き出した方が職場全体がスムーズにいきます。育休申請と同じく、自分でe-Tax申告が必要な場面も増えています。医療費控除の申告体験についてはe-Taxで医療費控除を申告した実体験も参考にしてみてください。

管理職として知っておきたい育休サポートの実務

管理職の立場になると、部下から「育休を取りたい」と相談を受ける場面が増えます。私の会社は比較的取りやすい雰囲気があると思っていますが、正直なところ「自分が制度を詳しく把握できているか」は自信がありませんでした。今回改めて調べて、管理職として知っておくべきことが想像以上に多いと実感しました。

正直なことを言えば、自分が育休を取っていない立場で部下に制度を説明することに、最初は少し後ろめたさがありました。でも「取れなかったからこそ後悔している」という本音があるから、余計な格好つけなしに「取ってほしい」と伝えられます。取得を迷っている部下には、それが一番伝わると感じています。

2023年4月から従業員1,000人超の企業は育休取得率の公表が義務化されました。2025年4月からは300人超に対象が拡大します。管理職として「知らなかった」では済まされない環境が整備されつつあります。

部下から育休の相談を受けたとき、管理職がやるべきことを整理しておきます。

  • 取得を歓迎する姿勢を明確に示す:「取っていい」ではなく「取ってほしい」というニュアンスが大切です。言葉一つで申し出やすさが変わります
  • 業務の引き継ぎ計画を一緒に立てる:「職場に迷惑をかけてしまう」という心理的な壁を上司が率先して下げましょう
  • 復職後のポジションを事前に確認しておく:育休中に役割が変わっていると復職時に混乱が生じます
  • 制度の詳細は人事・総務に相談を促す:管理職が全てを把握する必要はありません。専門部署につなぐことが大切です

一番大事なのは「取りやすい空気を作ること」だと思っています。制度がどれだけ整っていても、上司の言動が申し出づらい雰囲気を作っていれば意味がありません。育休を取れなかった経験のある自分だからこそ、部下にはその選択肢をきちんと行使してほしいと感じます。

今日のアクションプラン

  1. 自社の育休制度を確認する:社内イントラや就業規則で「育児休業規程」を検索してみてください。法定の育休に加えて、独自の補助制度(育休中の一部給与補填など)を設けている会社もあります
  2. 厚生労働省の試算ツールで給付額を計算する:直近の給与明細を1枚用意してハローワークインターネットサービスから概算を出してみましょう。「いくらもらえるか」が具体的になると、取得へのハードルが下がります
  3. 管理職の方は部下に一言伝えてみる:「うちの会社は育休取りやすいよ」という一言を日常会話の中で伝えてみてください。制度の説明より、この一言が取得を後押しする力を持ちます

まとめ

  1. 育児休業給付金は最初の6ヶ月が給与の67%、その後は50%。社会保険料・所得税が免除されるため、実質の手取り減少は月3〜5万円程度に収まることが多いです
  2. 2022年10月スタートの産後パパ育休(出生時育児休業)は出生後8週間以内に最大28日・2回分割取得可能。「短期間だけ取りたい」父親に向いた制度です
  3. 申請は会社経由で行います。本人がハローワークに行く必要はありません。育休開始の1〜2ヶ月前に上司・人事へ申し出るだけでOKです
  4. 育休取得率は2023年度に男性で初めて30%を突破しました。政府は2030年に85%を目標としており、制度も社会意識も変わりつつあります
  5. 管理職として「取りやすい雰囲気を作ること」が、部下の育休取得を後押しする最大の力になります

育休を取れなかった後悔は今でも少しあります。でもその経験があるからこそ、制度をきちんと理解して部下をサポートしたいという気持ちも強くなりました。社会の方向性は確実に変わっています。昔ながらの「自分は取らなかった」で終わらせない管理職でいたいと思います。

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