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老後の年金を増やす3つの方法|40代会社員がiDeCoを5年続けた実績と節税効果を公開

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「このまま普通に働いて、老後のお金は足りるんだろうか」と気になり始めたのは、40歳を過ぎたころのことです。

調べてみると、会社員の老後の年金はモデルケースで月22万円前後。夫婦2人の生活費(総務省の調査では月約28万円)と比べると、毎月5〜6万円の不足になります。老後30年で計算すれば、2,000万円超の差が生まれます。「老後2,000万円問題」が一気に自分事になりました。
それからiDeCoを始め、NISAと並行して資産形成を続けています。2020年時点で85万円だった資産は、2025年時点で約2,752万円まで増えました。

この記事では、老後の年金を増やすための主な3つの方法(iDeCo・繰下げ受給・付加年金)を、実際にiDeCoを5年間続けてきた40代会社員の体験も交えながら解説します。「何から始めればいいかわからない」という方の、最初の一歩になれれば嬉しいです。

老後の年金はいくらもらえる?国民年金・厚生年金の平均受取額と生活費の差

まず現実から見ていきましょう。老後の年金受取額は、会社員(厚生年金)と自営業(国民年金のみ)で大きく異なります。

区分月額受取額(目安)対象者
老齢基礎年金(国民年金)約6.8万円全ての国民(40年加入の場合)
老齢厚生年金(モデルケース)約14〜16万円会社員・公務員(厚生年金分)
夫婦2人(会社員+専業主婦)約23万円モデル世帯の合計
夫婦2人の生活費(総務省調査)約28万円2023年平均
不足額(概算)約5〜6万円/月老後30年で約2,000万円以上
※出典:厚生労働省「令和6年度の年金額改定について」、総務省「家計調査報告」2023年

会社員のモデルケースでは老後の年金は月22〜23万円程度が目安です。子育て中の今の生活費と比べると、老後は「住居費が減る・子の扶養がなくなる」などがある一方、「医療費・介護費が増える」可能性もあります。
単純に「年金だけで大丈夫」とは言えない現実です。

こうした現実を知ったうえで、「国の制度を使いながら自分でも備える」という発想が大切です。そのための主な方法が、以降で解説する3つです。

方法1:iDeCo(個人型確定拠出年金)── 老後の年金を自分で積み立てながら節税できる制度

iDeCo(イデコ)は、国が用意した「第2の年金制度」です。毎月一定額を掛け金として積み立て、60歳以降に受け取れます。最大の特徴は、掛け金の全額が所得控除になることです。

項目内容
掛金上限(会社員・企業年金なし)月2.3万円(年27.6万円)
掛金上限(会社員・企業年金あり)月1.2万円(年14.4万円)
※2026年改正で変更予定
最低掛金月5,000円
所得控除掛金の全額
運用中の課税非課税
受け取り可能年齢60歳以降
受取時の税制優遇退職所得控除または公的年金等控除が適用
※出典:国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」2025年。2026年改正の詳細はiDeCo改正2026年の解説記事も参照

たとえば月1万2千円をiDeCoに拠出した場合、年間の所得控除額は14.4万円。所得税率20%・住民税10%の方なら年間約4.3万円の節税効果(14.4万円×30%)があります。
これは「iDeCoを使わなければ税金として払っていたお金」が、自分の老後資金に変わるということです。

注意点は、60歳まで原則引き出せないこと。教育費・住宅購入など急な出費が必要なときに使えません。そのため「老後専用の口座」として位置づけ、生活費や教育費と完全に分けて管理することが大切です。

私がiDeCoを月12,000円から始めて月5,000円に減額した正直な理由と5年間の実績

私がiDeCoを始めたのは2020年。楽天証券でeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)を選び、月12,000円からスタートしました。「NISAと同じ商品にすれば難しく考えずに済む」という単純な理由でした。

最初の4年間は順調でした。毎年の確定申告でiDeCoの所得控除を計上し、還付金として実感できていました。「あ、ちゃんと節税できてる」という感覚が、続けるモチベーションになっていました。

ところが2024年、新NISAが大幅拡充されたタイミングで、iDeCoの掛け金を月5,000円に減額しました。理由は2つあります。

理由①:新NISAを最大限活用したかった
新NISAは年間360万円・生涯1,800万円まで非課税で投資でき、いつでも引き出し可能です。iDeCoより柔軟性が高く、長期的に見てもNISAの枠を先に埋めた方が合理的と判断しました。

理由②:子どもの教育費への備えを優先したかった
我が家には子どもが3人(13歳・10歳・5歳)います。上の子の大学進学が近づいており、急に現金が必要になる可能性があります。流動性のないiDeCoより、引き出せるNISAにシフトしました。

正直、「こんな少額(月5,000円)で意味あるのか」と思った時期もあります。でも節税効果を計算すると、月5,000円でも年間1.8万円の節税。続けない理由にはならないと結論づけました。

期間月額掛金年間掛金年間節税効果(概算)
2020〜2023年(4年間)12,000円144,000円約43,200円
2024年〜現在(2年間)5,000円60,000円約18,000円
5年間累計約696,000円約154,800円
※節税効果は所得税率20%+住民税10%=合計30%で概算。実際は年収・控除内容によって異なります

5年間で積み立てた掛け金の総額は約70万円。節税効果だけでも約15万円以上。さらに運用益(非課税)も上乗せされています。「少額でも続けてよかった」という実感は、数字を見ると改めて強くなります。

なお、私の全資産(NISAとiDeCo合算)は2020年の85万円から2025年に約2,752万円まで増えました。iDeCoの運用も含めた積み上がりの記録は資産形成の全記録(85万円→2,752万円)でも公開しています。

方法2:年金の繰下げ受給── 70歳まで待てば受取額が最大42%増える

「iDeCoだけが年金を増やす方法ではない」ということも知っておいてください。国の公的年金にも、受取額を増やせる仕組みがあります。それが繰下げ受給です。

通常、老齢年金は65歳から受け取り始めますが、これを遅らせること(繰下げ)で受取額が増えます。1か月遅らせるごとに0.7%ずつ増加し、70歳まで繰り下げると合計42%増になります(2022年改正で75歳まで延長可能・最大84%増)。

受け取り開始年齢増加率月22万円の場合年間受取額
65歳(通常)±0%22.0万円264万円
66歳+8.4%約23.8万円約286万円
67歳+16.8%約25.7万円約308万円
70歳+42.0%約31.2万円約374万円
75歳(最大)+84.0%約40.5万円約486万円
※出典:日本年金機構「繰下げ受給の請求」2024年。試算は月額22万円のモデルケース

ただし、繰下げ受給には注意点もあります。繰下げ受給は「長生きすれば得、早くに亡くなると損」という性格の選択です。70歳まで繰り下げると、65歳から受け取り始めた場合と比べた損益分岐点は概ね81歳前後とされています。

健康状態・家族構成・iDeCoやNISAで準備している資産量・配偶者の状況などを総合的に判断する必要があります。今すぐ決める話ではありませんが、「こういう選択肢がある」と知っておくだけで将来の選択肢が広がります。

方法3と使い分け── 付加年金の注意点とiDeCo・新NISAの40代リアル配分例

タイトルで挙げた「付加年金」について補足します。付加年金は月400円を追加で払うと年金が増える制度ですが、対象は国民年金の第1号被保険者(自営業・フリーランス)のみです。会社員(第2号被保険者)は加入できません。会社員の方はiDeCoと繰下げ受給の2つを軸に考えるとよいでしょう。

では、iDeCoと新NISAはどう使い分ければいいのか。私の配分と、その考え方をお伝えします。

比較項目iDeCo新NISA
節税メリット掛金が全額所得控除運用益・配当が非課税
引き出し60歳以降のみいつでも可能
年間上限14.4〜27.6万円360万円(生涯1,800万円)
用途老後資金(専用)老後・教育・緊急など多目的
私の現在の配分月5,000円月5万円
※私の配分は家族5人・子ども3人の教育費を考慮した上で設定。最適解は家庭状況によって異なります

私が新NISAを優先している理由は「柔軟性」です。子どもが3人いると、教育費で急に大きな現金が必要になる場面がいずれ来ます。iDeCoは引き出せないので、緊急時に対応できません。

だからといってiDeCoを0円にしないのは、「節税効果が確実だから」。月5,000円でも年間1.8万円の節税になり、老後の受取額も少しずつ積み上がっていきます。「新NISAが最優先、iDeCoは節税口座として最低限維持」というスタンスが、今の私には合っています。

iDeCoと新NISAの優先度についての詳しい考え方は、iDeCoより新NISAを優先すべき?40代会社員が掛け金を下げた理由もあわせてどうぞ。

今日のアクションプラン

記事を読んだ今日、まず1つだけやってみてください。

  • 「ねんきんネット」にログインして、自分の年金受取推計額を確認する(5分)
    ねんきんネット(日本年金機構) にアクセス。マイナポータル連携で簡単にログインできます
  • iDeCoの加入可否を確認する
    → 勤務先に「企業型確定拠出年金(DC)に加入しているか」を確認。楽天証券・SBI証券の公式サイトでも対応状況を確認できます
  • 新NISAの積立設定を先に整える
    → iDeCoより先に新NISAを活用することをおすすめします。NISAの方が柔軟性が高く、教育費・老後資金の両方に使えます

「老後のことは後でいいや」と先送りにしがちですが、40代はまだ20年以上の積立期間があります。コロナ禍で暴落が来ても積立を続けた結果が今の資産につながりました。その体験は暴落が来ても積立を止めない理由でも書いています。

まとめ

  1. 老後の年金は夫婦2人で月22〜23万円程度が目安。生活費28万円との差は毎月5〜6万円、老後30年で2,000万円超の不足になりうる
  2. iDeCoは掛金が全額所得控除になる強力な節税制度。月5,000円から始められる。会社員にとって最も使いやすい老後資金制度のひとつ
  3. 私が5年間iDeCoを続けた節税効果は概算で約15万円。少額でも続けることで着実に積み上がる
  4. 繰下げ受給は70歳まで遅らせると年金が42%増。健康状態・資産状況を見て将来の選択肢として持っておこう
  5. iDeCoと新NISAは役割が異なる。新NISAを優先しながら、iDeCoは最低掛金で維持するのが、子どもを抱える40代の現実的な配分のひとつ

年金のことを本気で考え始めたあの夜から、少しずつ行動してきてよかったと思っています。まずはねんきんネットで自分の推計額を確認することから始めてみてください。

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