「お金は、貯めるだけでいいのか?」——そんなことを真剣に考えるきっかけになった本が、『DIE WITH ZERO(ダイ・ウィズ・ゼロ)』(ビル・パーキンス著)でした。
私はこの5年、コツコツ積み立ててNISA中心の資産が85万円から2,000万円超まで増えました。”増やす”ことには少しずつ自信がついてきたところです。
初めはこの本のタイトルの意味がわかりませんでした。英語は中学英語で止まっているからです(泣)
少しネットで調べると「残高ゼロで死ね? 子どもの教育費も老後も、これからお金が要るのに、使い切るなんて無理だよ」と。
ところが読んでみると、全部は実践できないけれど、一部はものすごく刺さりました。
この記事では、“残高ゼロ”は目指さない守り派の40代会社員が、この本から何を受け取って、何を見送ったのかを正直に書きます。
📋 この記事でわかること
» 『DIE WITH ZERO』を3行で要約
まず、本の主張をざっくり3行でまとめます。細かい話はいろいろありますが、私の理解では核心はこの3つです。
| 核心メッセージ | 内容 |
|---|---|
| ①経験に投資せよ | お金そのものより「経験」に価値がある。経験は後から「思い出」という形で、何度も配当を生み続ける |
| ②できる年齢は限られる | 同じ体験でも、できる年齢は決まっている。お金があっても、時間と健康がないとできないことがある |
| ③理想は使い切って死ぬ | 使われずに残った資産は、活かせなかった人生の時間。だから計画的に「使い切る」ことを目指そう |
①と②には、読みながら何度もうなずきました。
問題は③です。「使い切って死ぬ」——ここに、私はどうしても引っかかったんです。
» 正直、「残高ゼロで死ね」には抵抗があった
私が資産形成をしている理由は、はっきりしています。
子ども3人の教育資金、老後の安心、そして会社に依存しない経済的自立。この3つのためです。
教育費はこれからが本番です。上の子はもう中学生で、大学まで考えると、いくら積み立てても「足りるだろうか」という不安が消えません。老後も、年金や高額療養費といった制度はあるけれど、20年・30年先がどうなるかは誰にも分かりません。
そんな状況で「残高ゼロを目指して使い切れ」と言われても、正直こわい。
子どもに何も残さないと割り切ることも、今の私にはできません。だから読み始めてすぐ、「この本の通りには、やらない」と心の中で線を引きました。
——なのに、です。線を引いたうえで読み進めると、私の”守り一辺倒”の考え方を、いい意味で揺さぶってくる部分がいくつもありました。ここからが本題です。
» 教え①:貯めただけで使えないまま終わるリスク
いちばん刺さったのは、「貯めること自体が目的になっていないか?」という問いでした。
老後の不安をなくすために、私たちはお金を貯めます。でも、もし70歳・80歳になって体が思うように動かなくなってから「さあ使おう」では、遅いこともある。不安のために貯めたお金が、不安のまま使われずに終わる——これでは本末転倒です。
実は、これは私のような”守り派”こそ陥りやすい罠だと思いました。
節約や積立が得意な人ほど、「使う」ことに罪悪感を持ちがちです。私自身、外食ひとつ、旅行ひとつにも「これ、本当に必要かな」とブレーキをかけてきました。その癖が、いつか「使えない人」を作るかもしれない——そう気づかされたんです。
» 教え②:お金は「時間」と「健康」とセットでしか使えない
2つ目は、「お金は、時間と健康とセットでしか使えない」という視点です。
厚生労働省のデータでは、日常生活に制限なく過ごせる「健康寿命」は男性で約72歳、女性で約75歳とされています(出典:厚生労働省)。平均寿命との間には、男性で約9年、女性で約12年の差があります。
つまり、お金があっても、健康に動ける時間は思っているより短いかもしれない、ということです。
これは子育て世代にも当てはまります。子どもが親と一緒に出かけてくれる時期は、驚くほど短い。
うちの上の子はもう中学生で、これから部活や友達が優先になっていきます。「家族全員で動ける時間」には、はっきり期限がある。お金を貯めて10年後に使おうとしても、その”経験”はもう買えないかもしれないんです。
» 教え③:守りの最低ラインを決めれば、残りは安心して使える
そして、守り派の私でも素直に取り入れられたのが、この考え方です。
本の中では「生きていくのに最低限必要な額(守りのライン)を決め、それを超えた分は経験に使ってよい」という整理が出てきます。
これは私の言葉に翻訳すると、こうなります。
- 生活防衛資金(数か月分の生活費)を確保する
- 教育資金の確保ラインを決める
- 老後の最低ラインを見積もる
この3つの”守り”が崩れていない範囲であれば、余ったお金は罪悪感なく経験に回していい。そう整理できた瞬間、肩の力が少し抜けました。
「使い切れ」ではなく「守りを決めてから使う」。これなら、私のような心配性でも実践できます。
| 本の主張 | 私の選択 |
|---|---|
| 残高ゼロで死ね | 見送り。教育・老後・自立のため資産は守る |
| 経験に投資せよ | 取り入れた。守りを崩さない範囲で |
| 若く健康なうちに使う | 一部取り入れ。子が小さい今の家族時間を優先 |
| 守りのラインを決める | 取り入れた。生活防衛資金+教育+老後で線引き |
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» 私が”守りを崩さない範囲”で実践していること
この本を読んでから、私の行動は少しだけ変わりました。とはいえ、派手なことは何もしていません。
まず、NISAの積立はこれまで通り続けています。守りはまったく崩していません。生活防衛資金もそのままです。
そのうえで変えたのは、「年に数回は、家族との体験にお金を回す」と決めたこと。これまでなら反射的にケチっていた外食や小旅行を、「今しかできない経験」として前向きに選べるようになりました。今年は、家族で少し遠出の旅行も計画しています。
要は、「増やす」と「使う」のどちらかではなく、両方を自分の物差しで決めるようになっただけです。守りを土台にしているからこそ、少しの”使う”を楽しめる。私にはこのバランスが合っていました。
なお、増やした資産を将来どう取り崩していくかは、また別の大きなテーマです。具体的なシミュレーションは新NISAの出口戦略|2,000万円超を取り崩すと何年持つかにまとめているので、あわせてどうぞ。
朝5時ごろに新しい記事を更新しています。明日もまた、お会いできたら嬉しいです。


