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住宅ローンの繰上返済vs投資:どちらが得かシミュレーション比較

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3,100万円のローンを抱えながら、毎月10万円の投資を続けている

正直に言います。私はいま、住宅ローンの残高が約2,600万円ある状態で、毎月10万円以上の投資信託を積み立て続けています。

2018年末に戸建てを購入し、借入総額は約3,100万円。ミックスローン(固定50%・変動50%)で35年返済、月々の返済額は10万1千円です。ボーナス払いなしで毎月コツコツ返しています。

「両学長が言っている『借金はするんじゃない』という言葉、頭の片隅にずっとあるんですよね……」。正直、少し後ろめたい気持ちがないわけではありません。それでも投資を続けている理由があります。

この記事では、繰上返済と投資継続を実際にシミュレーションして比較した結果と、私がどう判断したかをまとめます。「ローンを抱えながら投資していいのか」と迷っている方に、少しでも判断の材料になれば幸いです。

📝 この記事でわかること

  • 繰上返済と投資継続、それぞれのメリット・デメリット
  • 月10万円を「繰上返済」vs「投資」に回した場合の28年後シミュレーション
  • ローン金利と投資利回りの「損益分岐点」早見表
  • ミックスローン(固定+変動)の場合の考え方
  • 変動金利が上がったとき、どう判断するかの基準

まず整理:繰上返済と投資継続、それぞれの特徴

「繰上返済が得か、投資が得か」は条件によって答えが変わります。まず両方の特徴を整理しておきましょう。

繰上返済投資継続
メリット利息を確実に削減できる・精神的に楽になる・リスクゼロ複利効果で資産が大きく育つ可能性・手元流動性を保てる
デメリット手元資金が減る・緊急時に使えない・投資機会を失う元本割れリスクがある・ローン利息は払い続ける
向いている人金利が高い・リスクを取りたくない・精神的安定を重視金利が低い・長期投資に慣れている・手元流動性を確保したい
判断の基準住宅ローン金利 > 期待投資利回り住宅ローン金利 < 期待投資利回り

判断の核心はシンプルです。「ローンの金利」と「投資の期待利回り」を比べて、どちらが高いか——これだけです。

シミュレーション:月10万円を「繰上返済」vs「投資」に回すとどうなるか

私の場合、毎月ローン返済に10.1万円を払い、さらに夫婦合計で10万円超の投資信託を積み立てています。「この投資分を繰上返済に回したらどうなるか」をエクセルで試算してみたことがあります。

結論から言うと、現在の金利水準では投資継続の方が数十年後の資産総額が大きくなるという結果でした。それを確認してから、投資継続の方針を決めました。

以下の表は、残ローン2,600万円・残28年の条件で、月10万円を投資に回した場合の資産推移の試算です(年利5%想定)。

経過年数月10万円を投資した場合(年利5%)繰上返済に充てた場合の利息節約(金利1%)差額
10年後約1,550万円約80万円投資が約1,470万円多い
20年後約4,100万円約170万円投資が約3,930万円多い
28年後(完済時)約7,250万円約220万円投資が約7,030万円多い
※投資利回り年5%、ローン金利平均1.0%、月10万円積立で試算。投資利回りは保証されるものではありません。

もちろん、投資は元本割れリスクがあります。「利回り5%が保証されている」わけではありません。ただ、eMAXIS Slim全世界株式などの長期インデックス投資の過去実績が年4〜7%程度であることを踏まえると、低金利のローンを返すより投資に回す方が合理的という判断は、多くのFP・ファイナンシャルプランナーも一致しています。私自身の資産形成の経過については5年で85万円から2,752万円になった資産形成の全記録にまとめています。

ちなみに、繰上返済の効果を過小評価しているわけではありません。「利息が確実に減る・リスクゼロ」という点は繰上返済の大きな強みです。特に「投資の値動きで眠れなくなる」タイプの方には、繰上返済の方が精神的メリットが大きい場合もあります。最終的には数字と自分のリスク許容度の両方で判断することをおすすめします。

「損益分岐点」はどこにあるか:金利×投資利回りのマトリクス

繰上返済か投資継続かの判断は、「ローン金利が何%になったら繰上返済に切り替えるべきか」という問いに置き換えられます。以下の表で確認してみてください。

住宅ローン金利投資利回り年4%投資利回り年5%投資利回り年6%
0.5%(変動・低水準)投資が有利投資が有利投資が有利
1.0%(固定・現状想定)投資が有利投資が有利投資が有利
2.0%(変動・上昇時)投資が有利投資が有利投資が有利
3.0%(変動・さらに上昇)ほぼ均衡投資がやや有利投資が有利
4.0%以上繰上返済を検討ほぼ均衡投資がやや有利
※長期での比較試算。税金・手数料は考慮していません。あくまで参考値です。

私の場合、変動金利が3〜4%に上昇したタイミングで繰上返済を真剣に検討しようと考えています。現時点(変動金利1%前後)では、まだ投資継続が有利な水準です。

ミックスローン(固定50%+変動50%)の場合の考え方

私はミックスローン(固定50%・変動50%)を選びました。当初は「金利上昇リスクを半分ヘッジしたい」という考えでしたが、改めて整理するとこういう特徴があります。

固定金利50%(約1,300万円相当)変動金利50%(約1,300万円相当)
メリット金利上昇の影響を受けない・返済計画が立てやすい現状の低金利を享受できる
デメリット変動より金利がやや高め金利上昇で返済額が増えるリスク
繰上返済の優先順位低い(金利が固定で低いなら急がなくてよい)高い(金利上昇時は優先的に返済)

ミックスローンの場合、繰上返済するなら変動金利分を優先するのが基本です。金利が上がっている変動部分を先に減らすことで、金利上昇リスクを効果的にヘッジできます。

私が「繰上返済せず投資継続」を選んでいる理由

両学長の「借金はするんじゃない」という言葉は、今も頭の片隅にあります。正直、少し後ろめたい気持ちもあります。

それでも投資を続けているのは、主に2つの理由からです。

理由①:繰上返済すると手元資金がほぼなくなる
もし手持ちの資産を全て繰上返済に充てると、いざというときに使える現金がなくなってしまいます。5人家族で急な出費は珍しくありません。「手元流動性を確保したい」という気持ちが正直なところです。

理由②:エクセルで計算したら、投資継続の方が数十年後の資産が大きかった
「一括返済した場合と投資を続けた場合、どちらが数十年後に豊かになれるか」を自分でエクセルで試算してみました。現在の低金利水準では、投資継続の方が明らかに有利という結果が出ました。感覚ではなく数字で判断したことで、少し後ろめたさが和らいだ気がします。相場が大きく下落しても積立を続けた経験についてはこちらの記事にも書いています。

見落としがちな落とし穴:住宅ローン控除と繰上返済の関係

繰上返済を検討するとき、もうひとつ忘れてはならない制度があります。それが住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)です。

2018年に住宅を購入した場合、住宅ローン控除は原則として入居翌年から10年間適用されます。2026年現在もまだ控除期間内です。

住宅ローン控除は「年末のローン残高×控除率」が所得税から差し引かれる制度です。つまり、繰上返済してローン残高を減らすほど、控除額も減ってしまうという逆効果が生じます。

控除期間中の繰上返済は、次の2つの損が重なります。

  • 投資機会を失う(投資利回り分の損失)
  • 住宅ローン控除の控除額が減る(税金で損をする)

2018年購入の場合、控除期間の終了は2028年ごろ(取得した年や申告状況による)です。控除期間が終わってから繰上返済を検討するというのが、多くのFPが推奨する基本方針です。

私自身も、この控除期間中はローン残高をむやみに減らさない方が有利と理解した上で、現在は投資継続を選んでいます。

今日のアクションプラン

やること時間目的
自分のローン金利を確認する(契約書・マイページ)5分損益分岐点の判断に必要
上の損益分岐点表に自分の金利を当てはめる3分繰上返済 or 投資継続を判断
月の返済額・投資額・手元現金を書き出す10分現状の資金配分を把握
エネチェンジ等で繰上返済シミュレーションを試算する15分利息節約額を数字で確認
「変動金利が〇%になったら繰上返済する」を決める5分判断基準を事前に持つ

まとめ

  1. 繰上返済 vs 投資の答えは「ローン金利 vs 投資利回り」の比較で決まる。現在の低金利水準では投資継続が理論上は有利
  2. 月10万円を投資に28年回した場合(年利5%)の試算額は約7,250万円。繰上返済の利息節約額(約220万円)を大きく上回る
  3. 変動金利が3〜4%以上に上昇したタイミングが、繰上返済を本格的に検討するひとつの目安
  4. ミックスローンの場合、繰上返済するなら変動金利分を優先するのが基本
  5. 「繰上返済か投資か」よりも、手元流動性(生活防衛費)を確保した上でどちらを選ぶかが重要。資金が枯渇しない範囲での判断を

「両学長に怒られそうだな……」と思いながらも、数字を確認して投資継続を選んでいます。完全に吹っ切れたわけではないけれど、根拠を持って選んだことで少しだけ前向きになれました。

ローンとの付き合い方に「絶対の正解」はありません。自分の金利・資産状況・リスク許容度に合わせて、定期的に判断を見直していくことが大切だと思います。

「ローンがあるうちは投資すべきでない」という意見も理解できます。ただ、数字で確認した上での判断と、なんとなくの感覚での判断は全く別物です。一度自分の金利・残高・期待利回りを表に当てはめてみることで、モヤモヤが少し晴れるかもしれません。

ローンも投資も、大切なのは「感情ではなく数字で判断すること」です。私自身、エクセルで試算してから初めて迷いが減りました。まず自分の数字を把握するところから始めてみてください。

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